1980年12月26日深夜。
イギリス、サフォーク州。RAF Woodbridge──米空軍が使用していた英国空軍基地の外縁部に、広大なレンデルシャムの森が広がっている。
ここで起きた一連の出来事には、ほとんどのUFO事例が持っていないものが揃っている。公式文書と、肉声の録音テープだ。
第一夜──ペニストン軍曹が触れた機体
1980年12月27日、午前3時過ぎ。警備パトロール中のジョン・バロウズとジム・ペニストン軍曹が、森の方向から差し込む異常な光を確認した。
二人は懐中電灯を持って森の中に入った。
ペニストンが後に記録に残した内容がこうだ──「三角形の機体があった。直径約3メートル。表面は金属製で、触れると温かかった。彫刻のような記号が刻まれていた」。彼はその記号を手帳に書き写している。
バロウズの記憶はやや異なる。二人の証言には細部のズレがある。これは単純な捏造では説明しにくい点のひとつだ。
第三夜──副基地司令官の録音テープ
12月28日深夜。チャールズ・ホルト中佐(RAF Woodbridge副基地司令官)は、部下数名と共に現場へ向かった。
ホルトはマイクロカセット録音機を携帯していた。
テープには彼の肉声が残っている。「あの光は動いている──これは普通の光ではない」「ビームが地面に向けられた」「今、赤い光が点滅している……」。この音声は15分以上にわたって続く。今も聴ける記録だ。
ホルトは1981年1月13日付で英国国防省に公式の報告メモを送った。「ホルト・メモ」として知られるこの文書は、1983年に情報公開法によって一般に開示された。現物が公文書として存在している事件だ。
物的証拠──窪みと放射線
目撃翌朝、現場には3つの窪みが三角形の配置で残されていた。それぞれの間隔は均等だった。
放射線測定も実施されている。ベータ/ガンマ線が最高で0.1ミリレントゲン程度検出された。数値自体は高くはない。ただし、通常の森林地で見られる分布とは異なるパターンで集中していたと報告されている。
木の枝には折損と焦げの痕跡があった。地面には圧力を受けたような跡が確認された。
公式見解と二つの懐疑論
英国国防省の最終結論は「防衛上の脅威は認められない」だった。調査はそれで閉じられた。
懐疑論者が示す主な説明は二点ある。
ひとつ目──オーフォードネス灯台。ホルトが記録した光の点滅間隔(約5秒)は、この灯台の点滅周期と一致する。ふたつ目──シリウス。ホルトが南方で観察した星状の光は、位置計算上シリウスと重なる。
だが、第一夜の三角形の機体は灯台では説明できない。地面の窪みも、放射線の集中も、公式な答えは出ていない。
記録という事実
後年、ペニストンは「手帳の記号をバイナリコードとして解読した」と主張した。解読結果には「人類の探査のため、起源の年は8100年」という文言が含まれていたという。この後年の証言は検証が難しく、俺は留保している。
だがホルト・メモは実在する。音声テープは実在する。3つの窪みは記録されている。
証言だけで構成されたUFO事例は多い。これは違う。公文書として残っている事件だ。
1980年から40年以上が経った今も、事件は正式に解決されていない。「英国のロズウェル」と呼ばれる所以だ。
認めるか否か──それはあんたが決めることだ。判断は任せる。